第31話 世界の税金の巻
今まで色々な国内の税についておはなししてきましたが、今回はちょっとブレイク。世界のおもしろい税についてお話してみようと思います。みなさんは世界にこんなおもしろい税があるのを知っていますか?
● ポテトチップス税
国民の肥満防止を目的に、ハンガリーで導入。スナック菓子や清涼飲料水など、塩分や糖分が特に高い食品が課税対象となる。
● 渋滞税
イギリスのロンドン中心部で施行されている税。平日の一定時間内に決められたエリアに車で進入すると課税される。渋滞が日常茶飯事となっているこのエリアの混雑を減らし、他の交通機関の利用を促す目的で導入。
● 教会税
フィンランド福音ルーテル派教会・オーソドックス正教会派の教会登録者が対象となる税。教会の収入はこれで賄われている。
● 光るおもちゃ税
人を驚かせる目的で作られたおもちゃには課税するというもの。花火やおもちゃの銃などもこの対象となる。この税が導入されているアメリカ・ウェストバージニア州の凶悪犯罪が少ないのはこの税のおかげ?
などなど、他にも世界には地方色あふれる税金がいっぱいあります。「ポテトチップスを食べるのに税金を支払うなんて!」と思われる方もいるかもしれませんが、ハンガリーではそれだけ国の肥満事情が問題視されているということ。
世界の国々ではさまざまなやり方で、税収を増やしたり、国民の生活を改善したりするために試行錯誤されているのですね。
さて、みなさんの知っている税はありましたか?
第32話 贈与税の巻
プレゼントって贈る方も贈られる方も楽しいものですよね。でもあまり高額のプレゼントを贈ると税金がかかることも・・・。今回はそんなときに気をつけたい、贈与税についておはなししましょう。
贈与税とは、個人から財産を贈与された場合に課税される税金です。贈与で財産を取得した者が納税義務者になり、1月1日から12月31日までの期間中に受けた贈与財産について課税されますが、贈与税には「基礎控除110万円」がありますので、年間110万円以下の贈与であれば、贈与税はかかりません。
贈与税の対象となるもの
○ 本来の財産 ・・・預貯金、株式などの有価証券、土地、建物、貴金属など。
金銭に換算できるものすべて。
○ みなし贈与財産・・・満期により保険料を負担していないものが受け取る
生命保険金、借金の肩代わりや無償で債務を免除して
もらった場合の免除額など、本来の財産ではないが
同じような経済効果がある財産。
非課税財産
● 法人からの贈与で取得した財産。
● 通常、必要と認められる生活費や教育費。
● 社会通念上、相当と認められる香典、お祝い、中元歳暮、見舞金など。
● 相続などで財産を取得した者が、相続開始の年に被相続人から受けた贈与財産。
(→相続税の対象になります。)
● 離婚による財産分与
「贈与」とは、個人が財産を相手方へ無償で与える意思表示をして、相手方が承諾すること(口頭でも書面でも可)です。贈与税の場合、相手方の承諾があったかどうかが分からない場合は、贈与があったとものと見なされる場合が多いようです。
たとえば車や宝石など高額のプレゼントをもらった場合、110万円を超えるようなものなら贈与税の対象になりますので、要注意!
第33話 相続時精算課税の巻
前回は1年間に贈与を受けた財産にかかる税についてお話しましたが、贈与税には他に、相続時精算課税という制度があることをご存知でしょうか。
簡単に言うと、「父母から生前贈与として受けた財産に対して、一定の条件を満たせば相続時にまとめて精算することを条件に、贈与税を軽減しましょう」という制度で、同じ人から受けた財産は累積で
2,500万円まで非課税となります。
2,500万円を超えた財産に対しては一律20%の税率となり、実際の相続時に計算する相続税が納税額より少ない場合は還付を受けることができます。贈与税は相続税よりも税率が高いので一般的には贈与税で課税されるよりも相続時精算課税制度を選択したほうが有利といえます。また、相続税の計算時には贈与されたときの時価で計算されることもポイントです。
適用対象は原則として65歳以上の親から20歳以上の子供への贈与(年齢は贈与の年の1月1日現在で判断)と限られており、相続時精算課税制度と暦年課税制度、どちらの制度を選択するかは贈与される子供が決めることができます。
◎ポイント
・課税価格:贈与時の時価で、贈与者毎に計算。
・特別控除:2,500万円(最初の贈与から相続時までの贈与財産すべてが対象)
・税率:20%
・適用範囲:1度この制度を選択した贈与者からの贈与は、翌年以降も
適用を受けることになり、撤回はできない。
◎要件
・65歳以上の親から20歳以上の子への贈与であること
(住宅取得等資金の場合には、親の年齢制限なし)
・贈与を受けた年の翌年2月1日〜3月15日までの贈与税の申告期間内に、
贈与税の申告と一緒に「相続時精算課税選択届出書」の届出をすること
因みに、この制度は父母ごとに選択が可能ですので、父親からの贈与は相続時精算課税制度を利用して、母親からの贈与は暦年課税制度を利用するということもできます。
(※ただしこの場合、父親からの贈与についてはいったんこの制度を選択すれば二度と暦年課税に戻ることはできません。)
第34話 相続税の巻
人間、いつかは天に召されるときがやってきます。
そんな時、あとに遺した人たちのために知っておきたいのが相続税。
もしもの時に慌てないよう、今回は相続税について簡単にお話しましょう。
相続税は、親族などが死亡したことにより財産を承継した場合や遺言により財産を譲り受けた場合に生じる税金です。相続は、人が亡くなった時から始まります。死亡した人を被相続人と呼び、相続によって財産を承継した人を相続人と呼びます。
・相続財産の課税価格
本来の相続財産(ex.預貯金、土地、家屋、株式など)+
みなし相続財産(ex.生命保険金、死亡退職金など)+
相続開始前3年以内の贈与財産
(支払っている贈与税額については相続税額から控除できます。)−
債務(ex.借入金、支払利息、未納税金など)
・法定相続人
法定相続人の範囲は原則として民法の規定によります。ただし相続税法では
相続税の計算をするにあたって、民法とは別に規定しています。
【配偶者・子供・父母・兄弟】
・基礎控除額
相続税には次の基礎控除があり、亡くなった人の財産が基礎控除額以下の場合は
相続税を支払う必要はなく、また、申告をする必要もありません。
5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)
相続財産の課税価格から基礎控除額を差し引いた金額が「課税遺産額」となり、これに
税率をかけた金額が相続税となります。
相続は親族のいきなりの不幸ごとから始まるものですが、嘆いてばかりもいられません。
そのときになって慌てないよう、また相続のことで家族内でもめたりしないよう、
元気なうちに相続税対策を考えてみてはいかがでしょうか。
第35話 生命保険料控除の巻
年末調整の際によく耳にする、「生命保険料控除」。
10月くらいになると生命保険会社から「生命保険料の控除証明書」が送られてきて、年末調整の書類と一緒に給与担当者に渡しますよね。この生命保険料控除の制度が平成24年分の年末調整から改正されていることをご存知でしょうか。
これまでは「一般生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」の2種類の生命保険料控除とされていて、各々の控除の適用限度額は5万円(合計適用限度額が10万円)でした。
平成24年分以後の所得税から「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類の控除制度になり、それぞれの制度で次の@〜Bの各生命保険料控除により計算した控除額の合計適用限度額が12万円とされます。
@平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る控除(新契約)
A平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る控除(旧契約)
B新契約と旧契約の両方について保険料控除の適用を受ける場合の控除
※ 新旧制度両方の適用がある場合には、新旧「一般生命保険料控除」、新旧
「個人年金保険料控除」それぞれの控除限度額は4万円となり、この場合でも
3つの控除合計額は、所得税で12万円が限度になります。
なお、旧「一般生命保険料控除」、旧「個人年金保険料控除」の控除額が4万円超となる場合には、旧制度適用契約のみを申告することで、それぞれの控除枠ごとに5万円までの控除が可能となります。(この場合においても3つの控除合計額は12万円が限度です。)
旧契約だけの方も新たに介護医療保険に加入することで、控除額が増え、節税になります。年末調整の書類を自分で記入して計算してみるとよくわかりますので、やってみるのも面白いものですよ。
第36話 復興特別所得税の巻
平成25年1月1日から、復興特別所得税が創設されました。
これは東日本大震災からの復興財源を確保するために創設された制度で、個人の方で所得税を納める義務のある方は、平成49年12月31日までの25年間、所得税額の2.1%を復興特別所得税として納めるというものです。
◇ 納税義務者
個人の方で所得税を納める義務のある方
◇ 課税対象
平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得
(※ 給与所得者の方は、平成25年1月1日以降に支払を受ける給与等から
復興特別所得税が源泉徴収されることとなります。)
◇ 復興特別所得税額の計算【算式】
復興特別所得税額=基準所得税額×2.1%
この復興特別所得税で、まず気を付けなければいけないのは給与から差し引かれる源泉所得税。
「源泉徴収義務者は、平成25年1月以降に支払われる給与について徴収すべき所得税額の2.1%相当額を復興特別所得税として、所得税の源泉徴収と併せて源泉徴収しなければならない」とされており、給与計算する際には今まで使っていた源泉徴収税額表ではなく、復興特別所得税を加味された税額表で計算することになりますので、源泉徴収義務者の方は要注意です。
また、預金利息にもこの税がかかります。これまで所得税15%、住民税5%の合計20%が課税されていましたが、平成25年以降は復興特別所得税0.315%(=所得税15%×2.1%)と合わせ合計20.315%となります。
今までと比べて手取りが少なくなるのが家計には辛いところですね。
第37話 10種類の所得の巻
「所得税」とは、毎年1月1日から12月31日までの
1年間に得た所得の金額にかかる税金です。
この所得の金額とは、その年の収入金額からその収入を得るためにかかった必要経費、もしくは一定の控除額を差し引いた残りの金額をいうのですが、その所得には10種類の区分があります。今回はこの10種類の所得を簡単におはなししましょう。
◇利子所得
公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配などから生じる所得
◇配当所得
株式の配当、剰余金の分配、証券投資信託(公社債投信以外)の収益分配などから生じる所得
◇不動産所得
不動産、土地の上に存する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得
◇事業所得
製造業、卸売業、小売業、サービス業、農業、漁業、その他の事業で、
継続的に対価を得て行う事業から生じる所得
◇給与所得
給料・賞与などの所得(会社から無利子で金銭を受けた等の経済的利益や
現物支給の給与等も含みます)
◇退職所得
退職手当等、退職によって一時に受け取る、給与の性質をもつ所得
(企業年金を年金ではなく一時金で受け取った場合も含まれます)
◇山林所得
5年を超えて所有していた山林を伐採して売ったり、又は立木のまま売った所得
(所有期間が5年以下の場合は事業所得または雑所得)
◇譲渡所得
土地・建物等の譲渡、株式の譲渡、事業用の固定資産や家庭用の資産等の
譲渡によって生じた所得
◇一時所得
クイズの賞金や満期保険金など、営利を目的としない一時的に生じた所得
◇雑所得
年金や恩給などの公的年金等、非営業用貸金の利子、原稿料や印税、講演料などのように、
他の9種類の所得のどれにも属さない所得
こうして一度におはなしすると、種類がたくさんあって悩んでしまいますよね。
でも、それぞれの所得によって所得の計算方法や確定申告の有無が違いますので、
所得税を計算するには、まず、収入がどの所得に区分されるのかを判断する必要があります。
確定申告の際には、ご注意を。
第38話 個人事業税の巻
所得税や住民税の確定申告についてはよく耳にしますが、個人の事業税についてはあまりご存知でない方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、意外と知らない個人事業税についてのおはなしです。
個人事業税は、個人が行う一定の事業に対して、その事業の事務所又は事業所の所在する都道府県から課されます。対象となる業種と税率は下記のとおりです。
◎ 第一種業種(37業種) 税率:5%
物品販売業、不動産貸付業、製造業、駐車場業、請負業、飲食店業、
その他一般の営業
◎ 第二種業種(3業種) 税率:4%
畜産業、水産業、薪炭製造業
◎ 第三種業種(30業種)
・税率:5%
医業、弁護士業、税理士業、コンサルタント業、 理容業、
美容業、その他の自由業
・税率:3%
あんま・はり・きゅう等の事業
税額の計算は前年の1月1日から12月31日までの1年間の事業から生じた
所得金額を基にして計算されます。
◇ 税額の計算方法
事業から生じる所得+青色申告特別控除
−各種控除−事業主控除(年290万円)=課税所得金額×税率
「事業から生じる所得」とは、収入金額から必要経費を差し引いたもので、その計算は
概ね所得税の計算と同じ方法で行います。 ただし、所得税の青色申告特別控除の適用は
ありませんので、所得金額に加算されることに注意してください。
また、申告については所得税の確定申告書を税務署に提出した場合は不要となり、
都道府県から送付される納税通知書によって8月と11月に納めることになります。
納めた事業税の金額は所得税における事業所得・不動産所得・山林所得・雑所得の
必要経費として参入できますので、確定申告の際には忘れないように計上してくださいね。
第39話 勤労学生控除の巻
勤労学生控除とは、納税者本人が働きながら学んでいる学生で、その所得が一定以下の場合に、所得の控除を受けることができる
制度です。
勤労学生とは、その年の12月31日の現況で、次の三つの条件のすべてに当てはまる人です。
(1) 給与所得などの勤労による所得があること
(2) 合計所得金額が65万円以下で、しかも(1)の勤労に基づく
所得以外の所得が10万円以下であること
例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除65万円を差し引くと所得金額が65万円以下となります。
(3) 特定の学校の学生、生徒であること
この場合の特定の学校とは、次のいずれかの学校です。
イ 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、
高等専門学校など
ロ 国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は
各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
ハ 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練
法人で一定の課程を履修させるもの
以上のいずれかの学校に当てはまるかどうか分からないときは、
通学している学校の窓口で確認してください。
近年、大学通信教育の発達により、通信制の学校に在籍する勤労学生も多いといわれています。節税して現代社会に合ったライフスタイルを考えていきたいですね。
第40話 消費税の巻
知っているようで知らない消費税のお話です。
*消費税のしくみ
特定の物品やサービスに課税する個別間接税とは異なり、消費に広く公平に負担を求める間接税です。消費そのものを課税対象とする「直接消費税」と最終的な消費の前段階で課される「間接消費税」に分類でき、前者にはゴルフ場利用税などが該当し、後者には酒税などが該当します。
間接消費税はさらに課税対象とする物品・サービスの消費を特定のものに限定するかどうかに応じ「個別消費税」と「一般消費税」に分類されます。
この消費税は、生産及び流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度その販売価格に上乗せされてかかりますが、最終的に税を負担するのは消費者となります。
*税率
平成25年5月現在の税率は、4%です。また、消費税のほかに地方消費税が別途消費税額の25%(消費税率に換算して1%相当)課税されることから、これらを合わせた税率は5%となります。
*納税義務者
国内取引の納税義務者は「個人事業者」と「法人」です。
国内取引の場合には、事業者は、非課税取引を除き、事業として行った資産の譲渡や貸付け、役務の提供について消費税の納税義務を負うことになっています。
このように、国内取引の消費税の納税義務者は事業者ですから、事業者でない者は納税の義務はありません。
なお、事業者とは個人事業者(事業を行う個人)及び法人をいい、法人には株式会社等の営利法人、公共法人、公益法人等のほか人格のない社団等も法人とみなされていますので公共法人、公益法人等や人格のない社団等も課税資産の譲渡等を行う場合には納税義務者となります。
また、国や地方公共団体も事業者となり課税資産の譲渡等を行う限り納税義務者となります。
「消費税」という言葉を聞かない日は無いぐらい 日常で使われています。身近な税の一つとして覚えておきたいですね。